3期目の決算を迎えて
今日は、仕事帰りに、三宿のカフェで学生時代からの後輩とお茶をしつつ、いつものように事業や経営について話していました。
後輩も起業しており、元銀行員なので、ファイナンスの考え方について、改めてレクチャーしてもらっていたのですが、話をしている中で、苛立ちが募っている自分に気がつきました。
そうすると、自社が進んでいる方向性やスピード感が果たして正しいのかどうか?について正解がない世界で日々意思決定を求められます。
会社の評価として、一つの物差しとしては、売上や利益があります。
弊社は今期3期目で来月決算を迎えます。
おかげさまで創業から3期連続で増収増益で黒字で終える事ができる見込みです。
これらは一つの定量的な成果・成長です。
ただし、私自身は、これを認めてしまう自分に非常に懐疑的になっています。
経営者にとって、安定的に黒字・利益を出し続ける事はビジネスですから重要である事は間違いないと思います。
でも、これらを言い訳や理由に、安定を志向したり、コンパクトにまとまる事、また、自身の起業の目的やビジョンをおざなりにしていては、そもそも起業した意味が全くありません。
そう、私自身、こんな状態を目指しているわけではない事をよく理解しているのです。
言葉を選ばずに言えば、私は起業家や経営者にしては、お金に執着があまりありません。
経営・ビジネスにおいての資本という意味でのお金については、その重要性を理解しています。
ただ独身である私一人が生活するためのお金については、あまり価値・意味を感じていません。
お金持ちになって、贅沢三昧をしたい・アーリーリタイアをしたい等という個人の欲求は正直あまりないのです。
では、何に価値を感じているのか?
恥ずかしげもなく言わせていただくとすれば、それは、
「率先してリスクをとり、世の中への貢献度をできる限り最大化していきたい。」
という事です。
そのために起業したのです。
そんな理想と現状のギャップが私を苛立たせているのです。
我ながらですが、マジで格好悪いなと。
3期目が終わる今、怠惰でブレブレな自分に、喝を入れる必要性をとても強く感じています。
思えば、新人時代も、そんな甘い自分をよく理解していたからこそ、毎月、Qごとに紙に目標を具体的に書き、デスクに貼り付けては自分に警告をし続けていました。
そこで、人生を賭けている癖に、なぜ今それをしないのか?と疑問に思ったので、早速自分への戒めとして、ここに記しておきたいと思った次第です。
独り言にてすみません。
アクシス株式会社を、どんな会社にしたいのか
去年ようやくストンと自分の腹に落ちた言葉ですが、アクシス株式会社のミッションとして、
「ヒトとITのチカラで、働くすべての人を幸せにする。」
を掲げています。
こうしたミッションを掲げた理由・背景としては、私自身が、学生時代二十歳の頃に、一人で人材派遣(軽作業・キャンペーンスタッフ派遣)の真似事のような事で生活費を稼いでいた過去がありまして、ヒトが介在する価値を信じている元来アナログな人間であるという点があります。
また、新卒で入社したリクルートエージェントでも、介在するヒトによって、会社の事業や個人の人生の方向性を大きく左右するインパクトも実感していました。
一方で、学生時代の最後には、友人とfacebookと同じ年2004年に学生向けSNSを立ち上げ、学生ベンチャーのような活動をしており、当時2万人を超える学生ユーザーがサイトを利用してくれており、場所を問わずに人々が交流できるインターネットのチカラの凄さをまざまざと体感したのです。
また、現在もこの弊社サイトを通じて、毎月数十人・年間にすれば数百人もの転職者が、弊社にお問い合わせをいただき、その方々の人生の方向性についてアドバイスをさせていただく機会をいただいており、インターネットの力の凄さを、ビジネスとして実感しています。
正直、創業当初は、人材・転職領域をもう離れて、全く新しい分野にチャレンジしようと考えていました。当時はソーシャルゲームさえ検討しました。
ただ、30歳を迎えるにあたり、そろそろ自分自身の経験や強みを生かしていかなければならないと感じ、また、この業界のIT化の遅れや、業界の構造的課題も感じていた中で、やはり人材領域で勝負をしていく事を決めました。
その中でも求人企業以上に、転職者・ビジネスパーソン(個人)に対して、キャリアについての正しい情報が全く浸透していないという点に問題意識を感じました。
そうした背景から、ヒトとITのチカラを活用して、働くすべての人を幸せにしたいと心底思えたのです。
アクシス株式会社のビジョン
上記のミッション、理念のために、アクシスとして何を達成・実現していくべきなのか。
どうすれば働くすべての人を本当に幸せにできるのか?
そこにどんな課題が存在しているのか?
これらを自身の業界での実務経験を踏まえて、言葉にしていった上で、以下をアクシス株式会社が実現していきたいビジョン(目標)としました。
- 転職者やキャリアに悩む人たちの情報格差をなくす
- 転職・キャリアにおけるミスマッチを減らす
- すべてのビジネスパーソンが仕事を通して充実した人生を送る手助けをする
私が所属している人材・転職業界の課題、また、転職者個人における大きな課題はなんぞやと考えた際に、求人企業サイドからフィーをもらうビジネスモデルを背景・理由に、転職者サイドへの圧倒的な情報不足・格差、それによるミスマッチという問題がありました。
ミスマッチの中、適材適所がなされず、人生そのものを悲観して過ごしているビジネスパーソンが多く存在している事実は見過ごせません。
このテーマにおいて、アクシスは価値貢献をしていく事を決めました。
どうやってそれを実現していくのか?
仰々しいミッションやビジョンがあったとしても、それをどのように実現化していくのか?
そこに具体性がなければ、物事は一生成就する事はありません。
ミッション・ビジョンの実現のために、アクシス株式会社の今後の事業展開として、3本の矢を掲げています。
- 転職やキャリアについての詳細な情報DBメディアを作る
- 転職エージェントのフランチャイズビジネスを作る
- 企業へのキャリアメンター派遣事業を行う
ここでは、全てを説明はしませんが、それぞれ具体的に補足・解説してみます。
転職・キャリアについての情報DB構築
転職やキャリア形成のために参考となる情報は圧倒的に少なく、インターネット上でも信頼性の低い情報ばかりを目にします。
例えばですが、アフィリエイターが作っているサイトでは、転職エージェントランキングコンテンツが中心で、彼らに今更教えてもらわなくても知っている大手転職エージェント企業の名前が企業規模の順番で羅列されています。
また、人材紹介会社の口コミやレビューサイトなども多くありますが、大手人材紹介会社であれば、どんなに人材紹介会社の口コミを調べても、結局は誰が自分の担当キャリアコンサルタントになるかによって、サービスレベルに大きく差が出てしまいます。
私自身が転職支援を行なっている中でも、面談でよく転職者に聞かれる質問があるのですが、毎回、同じ内容を回答している自分に気がつきました。
「意外とこんな事も知らないものなんだな〜」と感じつつ、「毎回同じ事をお話しするのであれば、webサイトにログとして残して、事前にそこで情報を得てもらった方が効率的なのでは?」と感じました。
また、転職・キャリアのプロが回答する事で、インターネット上でもコンテンツ・情報の信頼性を一定は担保できるのではないかと考えました。
そこで、こうしたプロの転職エージェントの知見をweb上でDBする事で誰でも情報を閲覧・参考にでき、人材紹介会社単位ではなく、キャリアコンサルタント個人単位で検索・問い合わせができるサイトを今年の1月からリリースしました。サイトは以下です。
・プロが答える転職Q&Aサービス「Callingood(コーリングッド)」
転職エージェントのフランチャイズビジネス
大手の転職エージェント企業に登録すると、コンサルタントからのしつこい営業電話や大量の求人紹介メールが届いてうんざりしているといった声は多いです。
これは業界の内部にいる人間からすると、一定は仕方のない事と理解できてしまうところがあります。
人紹介会社の課金モデルとして、紹介した転職者が入社した時に、求人企業側から成果報酬型をいただくという仕組みになっています。
人件費という固定費が重い割に、成果報酬でゼロサム的なビジネスであり、実はリスクの高いビジネスモデルのため、マネジメント・管理職としては、プロセス数値を目標に細かく置いている事がほとんどです。
その一つのプロセス数値である求人送付数・紹介数も、もちろんKPIになりがちなのです。
人件費という重たい固定費の中で売上は全く保証されておらず、そうしたビジネスモデルでコンスタントに成果を出し続けるために、マネジメント側は、求人送付数をメンバーに求めざるを得ないのです。
それであればキャリアコンサルタントの固定費(人件費)を、変動費化してしまえば良いのでは?と私は考えています。
先ほどのDBメディアが育ち、多くの転職者が集まるようになった後には、フランチャイズビジネスを展開したいと考えています。
フランチャイズオーナーさんに人件費・固定費リスクは負っていただく事で(もちろんその分のリターンを大きくお返しします)、キャリアコンサルタントの人件費を変動費化し、求人紹介件数というKPIから解放し、シンプルに顧客満足を追求できる組織と仕組みを作りたいと考えています。
キャリアコンサルタントであるフランチャイズオーナーさん達には、以下の3点の業務のみに集中していただきます。
- 信頼関係構築
- キャリアメンタリング・アドバイス
- キャリアヒアリング・カルテ作成
求人開拓と求人マッチング・紹介については、本部のSV(スーパーバイザー)が、フランチャイズオーナーさんが提出したキャリアカルテを参考に行うといった分業制を敷く事で、転職者の満足度を担保しつつ、ビジネス成果も出せるのではと考えています。
こうしたモデルは、日本では婚活ビジネスを行うIBJさんや、アメリカシアトルのレッドフィンというIT×不動産領域のベンチャー企業が実践しているアシステッドコマースという概念を参考にしています。
企業へのキャリアメンター派遣
フランチャイズオーナーさん達の呼称を私はキャリアメンターと呼びます。
前述のフランチャイズビジネスにしたところで、ビジネスモデルの本質は人材紹介業である限り、課金ポイントが成果報酬型である点が、弊社にとっても、フランチャイズオーナーさんにとっても不安定である事には変わりありません。
そこで、彼らフランチャイズオーナーさんにとって定期収入が得られるようなビジネス・市場の開拓が必要となると考えています。
これはかなり先の展開の話となるので、いろいろな変動要素があると思いますが、現時点では、企業にキャリアメンターを派遣するサービスを提供できないかと考えています。
これは私の前職であるサイバーエージェントが一部実践している事です。
サイバーエージェントでは、タレントマネジメントDB「GEPPO(ゲッポー)」という日報の月間版システムを活用しており、社員が毎月末にパソコンから更新する事になっています。
そこで得られた定期的な社員のデータを元に、課題がある部署や社員を特定し、人事が定期的に面談を行い、配置転換やメンタリングなど、課題の解決を行なっているのです。
サイバーエージェントの人事担当役員である曽山さんは、先進的な人事制度研究と実践に積極的な方で、以前は私も曽山さんの勉強会にもよく参加させていただいていました。
そこでよく外資系企業の事例が出てきていたのですが、外資系企業では、事業部ごとに選任の人事がいるそうで、人事が事業部の社員全員が何を目的・モチベーションに仕事をしているか全て把握しているそうです。いわゆるタレントマネジメントですね。
曽山さんは、外資系企業の人事から学び、社内で実践しておられますが、日本の事業会社のほとんどが同じく実践・導入する事は難しいと思います。
理由としては、人事のマンパワー不足と思います。
企業において重要な採用業務でさえも、採用担当者は大きな会社でも数名しか担当を置いていない事が多く、コストセンターと考えられている人事部署に日本企業が固定で人員を配置する事は難しいのではないでしょうか。
こうした課題の中で、固定費の変動費化といった観点でアウトソーシングという手段をとる可能性があるのではないかと考えています。
そこで、タレントマネジメントシステムのレンタル提供&キャリアメンターのアウトソーサーとして、弊社サービスを提供できないものかと考えているのです。
キャリアメンタリング面談は、企業において非常にナイーブな領域になりますので、誰にでも任せられる業務ではありません。
プロの信用力が重要になります。
そこで、弊社のフランチャイズオーナーさんを選んでもらえるように、準備をしておきたいのです。
一歩、一歩
ここまで色々と記載しておいてなんですが、これらを実現するには、努力はもちろん、それ相応の時間を要すると考えています。
恐らく、全てが実現するまでには、10年〜12年程はかかると見込んでいます。
※もちろん少しでもスピーディーに前倒ししたいと考えておりますが・・
これらの事業展開が具現化すれば、アクシス株式会社のミッションである「ヒトとITのチカラで働く全ての人を幸せにする」の実現に近づけると確信しています。
恐らくこの事業展開を推し進めていく途中で、さらに新たなビジョンや事業展開を思い付き、アップデイトされていくと思っていますし、諸々の変動はあるでしょうが、ミッション実現のために、アクシス株式会社と私の人生を捧げる事を、まずはここに誓いたいと思います。