こんにちは。アクシス代表の末永です。社長ブログです。
東京渋谷でアクシスという20代・30代を中心とした若手ビジネスパーソン向けのキャリア支援事業を複数提供しています。
※yahooニュースや東洋経済、オールアバウト、新R25などのメディアへの寄稿や、書籍「キャリアロジック」「成功する転職面接」を出版する等、転職やキャリアについて情報発信もしていますので宜しければ読んでみてください。
3カ年計画の最後の年
弊社アクシスは、2018年6月に3カ年経営計画を立てまして、早いもので約2年半近くが経ちます。
7期、8期が終わり、9期目に入り、この11月から2Qがスタートしました。
3カ年計画が残り3Qでいよいよ終わる事になります。上半期終了時点までに次の3カ年計画を立てて、下半期スタート時に発表をする事を決めていたため、この1Qから色々と思考を重ねてきました。
みんなにとって、ワクワクし、且つ妥当性のあるビジョンを掲げる事。
それが自分の経営者としての職責であると思い、プレッシャーと焦る気持ちもありました。
ミッション・ビジョンは明確である。あとは、現在地とそこをつなぐ架け橋となる3カ年・中期経営ビジョンを掲げれば良い。そのはずでした。
思考すればする程にモヤモヤ
しかし、正直目標や計画を考えてみても、自分自身がしっくりこずに、モヤモヤする状態が続きました。
某上場企業経営者と会食した際に、「末永さんの会社はこれから伸びそうだね」と唐突に言われて、モヤモヤしていた僕は思わず、
「っ・・(汗)なぜですか。。?」
と聞き返しました。
「今、悶々しているでしょう?経営者が悶々すると、それを乗り越えた時に必ず大きく伸びるものだよ。ラッキーだね。この数年ほとんど仕事に没頭して無心で走ってきたと言っていたけれど、何も考えず走り続けている最中は実は経営者は思考したり決断をしていないから、そこまで成長していない。でも悩んだり悶々している期間は深く思考し、いずれ決断する事になるから、経営者自身が大きく成長する。だからその後に会社も大きく伸びる。」
と言われました。
そう言えば、前回の3カ年計画を立てる前、2018年の春にも悶々していました。
当時は、組織と言えるフェイズでもなく、このまま現状を維持するだけでも、固定費も小さいためとても生産性が高く、
「毎月1000万程の利益が貯まっていき、預金残高を眺めてホクホクする経営者なんて最低&失格だ」
と強く感じて、これからきちんと何に投資していくべきか、何に向かって歩みを進めていくべきかをいろいろな経営者に質問して回った事を思い出します。
こちらの当時書いたブログにも記載していますが、先輩経営者に相談して回った結果、決めた事は以下でした。
- 短期視点ではなく長期視点で意思決定する事
- フローではなくストックに投資を継続する事
- 内製開発にこだわり、強く早い開発チームを作る事
- コミュニケーションを丁寧に、大切にする事
- カルチャーに過度にこだわる事
- オフィスや社員が働く環境に投資する事
- ユーザーファーストにこだわる事
- 経営者として厳しくも、フェアである事
- きちんと率直にフィードバックをする事
- ユーザーとともに年を重ねる事
話がやや脱線しましたが、モヤモヤしている当事者である自分からすると、救われた気持ちもありつつも、どうにも息苦しく、そんな期間はいらないのでなる早で脱して前進したいと強く思いました。
その先輩経営者いわく、「深く、長く潜れば潜った方がその後に伸びる」とご助言いただきましたが、僕としては、「浅く、短くで乗り越えて、それでも大きく飛躍したい」と痛切に願いました。
自分を認識する事
同時にマネージャー育成のためにコーチングを導入し、5年前の出会った先輩との再会もあり、その過程で僕も同じくコーチングを体験しました。
そこで自分が何に課題を感じているのかを言語化していきました。
僕自身の当初の認識では、あくまでミッションなり、ビジョンを追求する事が目的であり、現状とそのビジョンとのギャップを埋めるために、数多ある課題を並べ立て、その解決・改善に向き合っているつもりでした。
しかし、0ベースでその課題設定を見つめ直した際に、果たして本当に必要な事なのだろうか?と疑問に感じました。
そこで、これまでビジョンを実現するための手段や過程の中で、自然に帯びてきた野心や、背負ってきた責任に捕らわれている自分に気が付きました。
率直に言えば、前回の3カ年計画の実現が見えてきた中で、もっと売上・利益伸ばすのイケそうかもという野心だったり、新卒など巻き込む社員が増えていく事での責任感だったりです。
その重圧に押しつぶされてしまいそうになり、いわゆる手段の目的化が起こってしまっていたのだと思います。
手段はあくまで目的によって最適化されるべきものであって、目的が変われば、必ずしも今の手段に囚われる必要はありません。
僕は職人肌で、どうしても物事を際限なく突き詰めて考えてしまう点があり、どの分野やテーマであっても、過剰に、研ぎ澄まそうとし過ぎてしまうのです。
当初の3カ年計画の目的
そういう視点に立つと、既に、当初の3カ年の目的はある程度、一定の達成が見えているのだと感じました。
2018年6月時点に立てた3カ年計画を考えた背景は、当時会社や組織とも呼べるレベルでなかった中で、壮大なミッションやビジョンを掲げても絵に描いた餅で実現性を感じないという事でした。
なので、まずは主観的にも客観的にも、世の中で会社や組織として一定認められ、期待される状態に持っていこうという事で、わかりやすい基準値として「新興市場に上場できるだけの実力のある会社になる」と設定しました。
3カ年の中ではまだ100点ではないですが、少なくとも、この1~2年以内にある程度着地できそうな目処がついてきたのだと思います。
その達成が見えた瞬間に、その延長線上の新たな3カ年を立てなければと焦っていましたが、それは地続きで一次曲線的な成長というビジョンでしかなかったと感じました。
土台を創るための3カ年であったのに、それをクリアしたら売上や利益などの次の土台をさらに積み重ねる事を、ビジョンや3カ年の目的としてしまっていたのです。
以前から成長は目的ではなく、手段だったり、結果であると社内外でも伝えてきましたが、僕自身気が付かない内に成長を目的化してしまっていたために、ワクワクしないのだと感じました。
自分たちらしさを具現化し、世の中に表明する事
それに気がつくと、当初の、本来の目的やビジョンを単純に思い出す事ができました。
誤解を恐れずに言わせてもらうのであれば、
次の3カ年は、(売上・利益・社員数としての)成長は必ずしもしなくても良い。
もちろん、売上や利益はとてもとても大切です。
でも、それを大きくする事自体を目的に、仕事をしていたり、人生を生きているのだとしたら、僕にとっては、正直とても虚しく、くだらない。
マクロ動態が伸びていた昭和〜平成初期であればまだしも、既にマクロが縮小しており、多くの市場が成熟・衰退している今やこれからは、お客さんや世の中にも求められていない。
世の中やお客さんにとって意味のある仕事をしたいし、そのために生きたい。
けれども、本来、前の3カ年を達成した先に、実現したかった事や世の中に対して表明したかった事を進捗させていきたいなと思うし、少なくとも僕はワクワクするのです。
(もちろん、その結果として成長する事は望ましいとは思っていますが)
「決して成長を目的にはしない事にこだわる事」は、資本主義における経営者として矛盾するような発言でしょうし、
相当に面倒くさい性格で、社員の皆さんにとっては、「おいおい、大丈夫かよ・・?」と不安に思われてしまうかもしれませんが、
あくまで、資本主義市場における単純な拡大再生産的だったり、経済指標を目的とした成長を目指さないという意味であり、ミッションやビジョンに対しては大きく進捗していく事はここで改めて約束をしておこうと思います。
そして、その当事者であるみんなは、一律の指標やKPIを追いかけ続けるよりも、結果として、よほど成長できる事も約束させていただきます。
なぜなら、死ぬほど思考しないと、考えないと、それは実現できないから。
僕は「やる」と決めました。一緒に実現しましょう。