こんにちは。アクシス代表の末永です。社長ブログです。
東京渋谷でアクシスという20代・30代を中心とした若手ビジネスパーソン向けのキャリア支援事業を複数提供しています。
※yahooニュースや東洋経済、オールアバウト、新R25などのメディアへの寄稿や、書籍「キャリアロジック」「成功する転職面接」を出版する等、転職やキャリアについて情報発信もしていますので宜しければ読んでみてください。
権限移譲と型のトレードオフという誤解
最近、掲題の件について、考える事が多いです。
自分は、現場で顧客と向き合っており、より情報を多く持った人の方が、より適切な判断や意思決定ができると考えてきました。
そこで、早期に現場のメンバーを抜擢し、権限移譲し、一定の失敗を許容し経験を積ませる事で、より強いリーダーや組織が生まれると考えました。
しかし、これらはプレイヤーを育成・指導する時にも全く同じ過ちをしてしまった事なのですが、マネジメントや事業責任者、経営者としての意思決定の型を言語化して引き継ぐ事をしてこなかったのです。
それについてここ最近、強く反省しており、これから意思を持って取り組むためにも、こちらで一度まとめておこうと思います。
ここで言う型とは、マネジメント業務の具体的な内容や役割、そして意思決定の基準などです。
当社においてメンバーにプレイヤー業務を引き継ぐ時にも、
自分が新卒時代から誰かに指導をもらわず何でも自分で考え行動して成果をあげるのが当たり前でそれが心地よかったために、「メンバーも同じく細かく指導されたり管理される事は嫌だろう」と思い丸投げをして失敗しました。
プレイヤーの業務引き継ぎについては、すぐに反省して、自分が介入しマイクロマネジメントをあえて行う事で一定改善に向かえたと思うのですが、
マネジメントを引き継ぐ上でも同じくこの型であったり、「守・破・離」で言う守が必須なのですが、これを丁寧に引き継ぐ事を怠ってしまったのです。
確かに、現場に居続ける方が情報量は圧倒的に多く解像度も高いのですが、当たり前ですが、似たような失敗やそれを乗り越えた経験値は先人の方が多く蓄積があります。同じ失敗を繰り返す事はお互いにとって無駄です。
マネジメントというのは、事実情報を収集し、それを処理・解釈し、判断や意思決定を行います。
会社としての意思決定の型がないと、この解釈や意思決定についてもそれぞれのマネージャーに属人化してしまい、マネージャー一個人の経験値、特質や性格に依存した解釈や意思決定をしてしまいかねません。
ある意味では、多様性があるという見方もできますが、それは組織としての基本の型があった上でそれを進化させるレイヤーでこそチカラを発揮します。
これは決して個性を殺せという意味ではなく、型のない中で、各人が自由に意思決定してしまう事は、主語が「アクシス」である意味や意義がなくなってしまいますし、マネジメントを任された個々人のバラバラな思いつきや行動でしかなく、再現性がありません。
厳しい表現を使えば、経験値の少ない個人に負荷や責任を背負わせるパワハラ行為とさえ言えます。
それでは、「組織」でもなければ、「戦略」でもありません。
「世の中の経営」と「アクシスの経営」のセオリー
また、自分は学生時代から膨大な量の経営本を読み漁ってきた事、
そして、リクルート時代に新規開拓営業として様々な業界・規模の営者と大量の商談を経営を学ぶ意識を持った上で経験を積んできており、
実際に起業後、約9年間の経営経験を行ってきた中で、ベースとして経営における意思決定や考え方について、ある程度無意識レベルに体得をしていたのです。(もちろんまだまだ未熟である前提ですが・・)
これは自分にとって当たり前な感覚が故に、特別な事と認識できておらず、マネージャーやコアメンバーに対しても意識的に伝える事はしておらず、ノウハウの共有が圧倒的に不足していると外部のコンサルの方に指摘されて気がつきました。
その認識がないために、「俺はこう思うけどね」とあくまで第三者的に一個人としての助言やフィードバックはするものの、「これがうちの経営におけるコアバリューになり得るのだ」という事は意識・強調せずにきてしまったので、マネージャー側もそこまで重要な事とは受け止めずに、自分の個性や判断の中で意思決定をさせてきてしまったのです。(もちろん、個別にはそれが良い場合もあったと思っています)
もちろん権限や裁量を任せる事は、当事者意識を育み、良い部分もたくさんあるとは思います。僕自身もそのスタンスやポリシーで組織運営を推進してきました。
しかし、プレイヤーを引き継いできた時に犯した失敗と同じく、最初から「型がない」ままでは、「型破り」にはなれず、単なる「型なし」状態です。
型なし状態で、大きな成果責任だけ背負わせる事は、むしろ残酷だったと感じます。
アクシスにおけるマネジメントの役割
マネジメントにおいては、プレイヤーの引き継ぎ時のように単純に僕がマネージャーに対してマイクロマネジメントをするわけではなく、アクシスにとってのマネジメントや経営の役割と意思決定の型を明示して、それに基づいた上で各自に判断・意思決定をしてもらう事、その徹底を求めるという事です。
これまで転職エージェントとして多くの会社・組織を観てきましたが、同じ業界・ビジネスモデルであっても、会社ごとに組織図も違うし、職種ごとの期待役割も全く異なります。
つまり、アクシスにおいてのマネジメントの役割や仕事内容を定義しなければ、そしてその定義通りの役割を発揮してもらわなければ、評価さえ正しく行えないのです。
アクシスにおけるマネジメントの意思決定基準
さらに、意思決定においては、より会社ごとに異なってきます。
僕たちが主戦場とする転職・キャリアマーケットは、市場規模は大きいものの、かなりのレッドオーシャンです。ここ最近は、供給過剰ではないかと思う程です。
そして単純に売上至上主義ではなく、あえて意思を持って理念を追求しています。
これは何を意味しているのか?
相当に難易度の高い事をやっているという事です。
つまり、レッドオーシャンでは、競合と同じく普通の戦い方をしていたら生き残る事はできないのです。
数名で食っていくくらいであればまだしも、少なくとも成長や発展は難しいです。
さらに単純に売上を上げるだけであればまだしも、ビジネスですから利益を追求した上で、同時に、理念も追求しなければならないというストイックな命題があります。
そうした厳しい環境や背景がある中で、少なくとも今のところは、生き残れているのには、それなりに環境適応してきたアクシスの独特な考え方だったり、意思決定の基準があるのです。
これを引き継がずに、顧客の声や競合の取り組みを観察して、そのまま反応していたとしたら、たちまち他社と凡庸化・同質化して、生き残る事さえもままならないのです。
他社と違うからこそ、生き残れている。
それは傍から見た際のビジネスモデルなどの表面的なところではなく、瞬間・瞬間の意思決定の細かな違い、その連続や積み重ねの成果なのです。
自由や裁量という甘美で聞こえの良い響きを大義名分に、これらを言語化し引き継いでこなかった事、徹底を求めてこなかった事は、僕自身の責任であり、大きな反省です。
文章に落とし込み、まとめて、きちんと伝承していきたいと思います。
そして、その型を当たり前のものとした上で、各自の個性や特質を本当の意味で活かしてアクシスの型をより進化・昇華させていってもらいたいと心から願っています。